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逆オイルショックとマネー革命

逆オイルショック

  正月明け以来下げ続け、マイナス金利という日銀・黒田バズーカーも効かず、冴えない動きを続ける日本株。原因はたくさんありますが、原油価格下落でリスクを取れなくなったオイルマネーが、世界の株式市場から資金を引き揚げていることが根本にあります。

  1970年代前半、二度にわたるオイルショックで原油価格の決定権を欧米の石油メジャー企業から奪った産油国。石油が生み出す莫大な資金はオイルマネーと呼ばれ、世界中の株式市場に流れ込み経済成長を支えてきましたが、最近は指標となる先物指数WTIで30前後と、2008年の最高値から5分の一まで下落しました。40年以上前のオイルショックは、スーパーからトイレットペーパーが消えるほど、インフレとモノ不足の恐怖を日本中に与えましたが、今度はデフレとモノ余りを引き起こす「逆オイルショック」が懸念されています。

  産油国が決定権を握って以来、国際社会の緊張にさらされ大きな上下動を繰り返した原油価格ですが、今度ばかりは様子が違います。と言うのも今回の原油価格下落は、シェールガスという強力なライバル出現によるものだからです。

  中国やブラジルなど新興国の景気後退も下落の一因ですが、これらの国の景気はいつか回復するでしょう。しかし、シェールガスを初めとした非石油燃料の商用化は、遠くない将来に石油が第二の石炭となり、オイルマネーを退場へ追い込むと見られているのです。


長引く影響

  マイナス金利という劇薬は、「逆オイルショック」の衝撃を少しでも和らげるため、とも言えます。ただ「逆オイルショック」は産油国同士の協調もあり一気にはフィニッシュせず、徐々に進むでしょう。

  そう考えると緊急避難と思われたマイナス金利も意外と長期化、さらにマイナス幅が広がる可能性があります。日本に先行してマイナス金利を導入した北欧諸国では、マイナス幅拡大をつい最近発表しました。

  私たちも長期戦を覚悟して、マイナス金利への対策を考える必要がありそうです。


マイナス金利 = 罰金

  預金をしている個人が銀行からいきなりマイナス金利を突き付けられることは当面ないようですが、日銀に一定額以上預けている銀行へ課せられるマイナス金利は、銀行にとっての「罰金」です。「余分なお金を日銀に預けると罰金」と脅かされ、「罰金を払っても預ける」と開き直れる銀行は少ないはず。それでも預ける銀行は、日銀や金融庁から検査を受けるたびに「なぜ貸出が増えないんですか?」とコッテリ油を絞られるのが目に見えています。預金抑制か貸出増加で、日銀へ預けるお金を減らすしかありません。


私たちのマネー革命

  銀行がそのような状況ですから、私たちも考えを改める必要があります。通帳の磁気が効かなくなり再発行してもらう際に手数料がかかるなど、以前はなかった手数料が増えています。貸出に回さない無駄なお金は罰金の対象となるため、銀行が保管料と言うべき手数料で罰金を穴埋めしようとするのは、時代の流れでしょう。

  銀行はお金を借り、保管してもらう場所。殖やすには株や不動産、金、保険などに資金とリスクを分散するマネー革命の時代に、私たちはいます。


(筆者: 亀谷 保孝 金融ジャーナリスト)

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