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国民負担率って何?


  4月1日より消費税が5%から8%に増税となりましたが、増税のニュースの中で「国民負担率」という言葉を見ることが多くなってきました。

   「国民負担率」とは、国民の収入や国内企業の利益の合計額である「国民所得」に対して、消費税や所得税、法人税などの国や地方の租税負担と年金や健康保険などの社会保障負担の合計額が占める割合を示すものです。

   つまり、国民が稼いだ金額の内、何%を税金や社会保険料に使っているのかという数値で、その値が増えれば増えるほど、個人が消費できる額が減るということです。

   財務省は、2014年度の国民負担率が41.6%と前年に比べ1ポイント上がるとの試算を発表しました。 上昇は2年ぶりで、これまでの最高である24年度の40.7%を超え、過去最高水準になる見通しです。

   先進諸国の国民負担率をみてみると、首位はルクセンブルクで85.2%、デンマークが67.7%で続いていますが、全体的には北欧諸国は60%前後、ヨーロッパは概ね50%、米国はおおよそ30%となっています。

   日本は自己責任型の米国よりは高いですが、高福祉・高負担のヨーロッパ諸国よりは低く、先進国の中では「中福祉・中負担」といえます。 また、他国との違いとして、公的福祉の一部を民間企業が担ってきた部分が大きく、「企業福祉国家」とも呼ばれています。



  負担の内訳では、消費税などの租税負担が24.1%と0.8ポイント上昇し、社会保障の負担は厚生年金の保険料率引き上げもあり0.1ポイント上がり17.5%となる見込みです。 租税負担は1990年代半ば以降はほぼ横ばいで推移していますが、社会保障の負担は高齢化の影響もあり増加の一途です。

  税金を上げる場合は、たとえば消費税増税の時のように、国民の意向に配慮しつつ、国会で審議を重ねるなど手続きが大変ですが、社会保険料は収支バランスによって、ほぼ自動的と言ってもよいほどに簡単に上がっていきます。

   たとえば、協会けんぽの全国平均保険料率は平成21年8.20%、平成22年9.34%、平成23年9.50%、平成24年10.00%、平成25年10.00%と上がっています。 また、厚生年金保険料率は、平成25年8.56%、平成26年8.737%、平成27年8.914%、平成28年9.091%、平成29年9.150%と毎年上がることが既に決まっています。

   相続税や所得税の増税は国民の中でも一部の人に影響が出る改正が多いですが、最近は消費税のようにすべての国民に負担を強いる改正が増えてきています。

   国民負担率とは関係ありませんが、高齢者医療費の自己負担率アップなども、「自分には関係ない」と思っている若い方もいらっしゃるかもしれませんが、やがて自分も高齢者になるということを考えるとすべての国民に対する負担増と言えるものです。

   いずれにしても国民の負担率は、今後確実に上がっていくことが予想されます。 可処分所得を確保するための自助努力がますます必要となるでしょう。

(筆者: ファイナンシャルアドバイザー:粟津 久乃)

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